武術からリハビリへ―バランスから始まる立ち方と歩き方の再構築

武術からリハビリへ〜バランスから始まる動きの再構築 姿勢・体幹バランス

武術には「立ち方」や「歩き方」を技術化するという考え方があります。

では、この「立ち方」や「歩き方」を技術化するという考え方は、あくまでも武術特有のもので、スポーツや日常生活には関係がないのでしょうか?

バランスから始める立ち方・歩き方

実は「立ち方」「歩き方」を考え始める第一歩は、自分のバランスに目を向けることです。

バランスが悪ければ、立っても歩いても筋肉が緊張しています。体が緊張していれば、疲れやすくも、痛みが起きやすくもなります。

思うようなパフォーマンスができないことにも繋がります。

姿勢、つまり「立ち方」や「歩き方」がきっかけになって痛みや不調が起きていることはあなたが考えておられるより案外多いと思ってください。

つまり、スポーツなどのパフォーマンスを追求したい方にも、健康維持やいつまでも動ける身体づくりを希望されるような方にも、「立ち方」や「歩き方」の技術化という考え方はとても有効なのです。

筋肉は脳の命令で収縮する

リハビリには「弱くなった機能を再強化して回復させる」という考え方が根底にあると考えられます。

しかし「立ち方」や「歩き方」を技術として捉えるとき、一見どれほど立てていたり歩けていたりするように見えても、「立ち方」や「歩き方」そのものを見直すことが有効な場合がありうるのです。

例えばバランスが悪くなって痛みや不調が生じているような場合、ただ前後左右の傾きを修正すれば良いとはいかない場合が少なくないからです。

簡単に言えば、使うべき筋肉と使うべきでない筋肉を意識化して使い分ける必要があるんですね。

筋肉を収縮させるのは脳からの命令ですから、筋肉の使い分けには脳からの命令を変える必要があります。

この場合には、「弱くなった機能を再強化」するのではなく、バランスを悪くしている体の使い方を一度捨て去ることも含めた再構築を考えるのが有効なんですね。

このプロセスが理想的に進められた場合、痛みが軽くなったり、スポーツや音楽のパフォーマンスが向上したケースがあるんですね。

体の使い方は武術の専売特許ではない!

つまり武術を習得する際の稽古の考え方は、日常生活はもちろん各種の専門分野でも有効だと考えられるのです。

そこで、このような基本動作を技術として捉え直し、再構築し、そこからさらに応用・発展まで追求するような考え方を「身体エンハンスメント」と呼ぶことにしました。

はじめ鍼灸整骨院の施術の根底には、この「身体エンハンスメント」という考え方が常に存在しています。

痛みや疲れのきっかけになるような姿勢や習慣、クセの見直しや、はり灸の前におこなう首や腰の動きのチェックも「身体エンハンスメント」の考え方に基づいています。

「身体エンハンスメント」は身体技術の習得や再構築を基本としており、「弱くなった機能を再強化する」というリハビリとは全く異なる考え方です。

一緒に楽しんでいただければ嬉しいです。

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