動きのコツって何ですか? 普通の運動とは違うんですか?
動きのコツも運動もどちらも身体を動かすという意味では同じです。動きのコツという言葉は体の動かし方を改善するニュアンスを強調するために使っています。
体の動かし方…ですか?
そうです(笑) 体の動かし方なんて普段、気にしたことはありますか?
全くありません。
それが普通ですよ。でもそこが問題なんです。
どういうことですか?
あなたも筋肉や関節に負担をかけて歩いてるかも?!
痛そうな例え話ですが、釘を踏んで片側の足裏をケガしたような場合、ケガした側の足がつけませんから立ったり歩いたりするときには体が傾いてしまいますよね。そのようにバランスが悪いときには他の部位の筋肉にも無理がかかって、例えば肩こりとか腰痛がひどくなったりします。
痛い部位を庇って姿勢が悪くなって、他の場所が痛くなる感じですよね。それは分かります!
では、どこにもケガがないときでも、姿勢やバランスが悪く筋肉や関節に負担がかかっている方がいると言ったらいかがですか?
足裏にケガがあるときほど極端ではないにしても、ですよね。私も姿勢は悪いと思いますし、そういう人もいると思います。
実は、そういう人もいるどころではありません。ほとんどの肩こりや腰痛が立ち方や歩き方が改善すればかなり楽になってしまうことを考えれば、大多数の方が無意識にご自分の筋肉や関節に負担をかけていると考えられます。
大多数ですか。肩こりや腰痛がある私もそこに含まれるということですね。
まず、間違いなくそうだと思います。この状態のままでいいんですか?
もちろん、できればなんとかしたいです。
姿勢や動き方よりも大事なことって?
筋肉や関節の負担を軽くするお話をする前に、大事なお話を一つ。それは食事と生活リズムのお話です。そもそも食事や生活リズムのバランスが大きく崩れている場合には、姿勢や動き方の話をする前に食事や生活リズムの改善を第一に考えた方が良いと思います。
睡眠時間の確保や食事のバランスはやっぱり大事ですよね!
今回は食事や生活リズムのお話には深入りはしませんが、やっぱり最重要ポイントなんですね。しかし食事や生活リズムがそれほど悪くないのに、体調を崩してしまうことだってあります。
食事や生活リズムは悪くないのに体調を崩してしまうのは何故ですか?
理由は一つではありません。しかしそのうちの大きな要因は分かります。
先程の姿勢やバランスの影響で筋肉や関節に負担がかかっているということですね!
その通り! 言い方を換えれば、無駄なコリや緊張で体を固めてしまっているということです。
無駄なコリや緊張で体が固まることの影響
体が固まるとどのような影響があると思いますか?
肩こりや腰痛ひどくなりそうですし、血流も悪くなりそうですね。
お、いいですね! それ以外にもいろいろ影響があります。体が固まるとバランス感覚が悪くなるので、姿勢が悪くなります。そして関節の周りの筋肉まで固まってしまえば、たとえ筋力が十分でも関節が十分に働けない、つまり動きが悪くなるということも起こります。それに……
そんなにいろいろあるものなんですね。。。
じゃあ、あと一つだけ(笑) そのように筋肉や関節が働きにくい、コントロールしにくい状況で、それでも無理やり体を動かしているとどうなると思いますか?
なんか体に悪そうですね。。。
その通りです! 油の切れた自転車のように筋肉や関節を動かしにくいところを無理やり動かすんですから疲れやすくなります。そして、すでにコリや痛みを感じている場合には、傷口に塩を塗るように影響することも考えられます。
それはイヤです。。。そう言えば、たまにすごい肩こりなのに、肩こりを全然感じないという方もいますよね?
そのような方は、自分が固まっているのを感じられないくらい体の感覚が鈍くなってしまっているんです。
何か方法や対策はあるんですか?
軽い体を持続させるための2つのポイント
固まってしまった体をほぐすためには大きく2つの方法があります。簡単に言えば、自分で体をゆるめほぐす方法と自分以外の助けを借りてほぐす方法です。自分で体をゆるめほぐす方法を、当院ではセルフケアと呼んでいます。
自分以外の助けを借りる方法というのは?
マッサージとか電気を流す機械を使う方法、お薬なども含まれますし、当院でおこなう鍼灸も自分以外の助けを借りる方法ですね。自分以外の助けを借りる方法にはメリットとデメリットがあります。
どんなメリットやデメリットですか?
メリットは自分が疲れや痛み、つらさでセルフケアができないときにも受けられるということです。特に鍼灸はセルフケアでリラックスさせにくい場合にも体をゆるめほぐしてくれることが多いので当院ではよくおこないます。デメリットは、体を固めてしまうクセや習慣が改善しなければ、しばらく経つと元に戻ってしまうということです。
そうすると元に戻さないためにはそれらのクセや習慣を何とかすればいいんですね!
その通りです! まずは鍼灸など自分以外の助けを借りてつらい体を楽にすること。その後でクセや習慣を改善して自分の体をコントロールできるようになれば、無駄なコリや緊張は少なくなりますし、姿勢や動きの改善も期待できるわけです!
そのクセや習慣を改善する方法がセルフケアであり動きのコツというわけですね!
先に言われてしまいましたね(笑) 漠然と体を動かすのではなく、動きのコツに気をつけながらセルフケアをおこなうことでクセや習慣が改善しやすくなるんです!
普通の運動とセルフケアや動きのコツとの違いは?
筋トレやストレッチ、ジョギングなども含めた普通の運動との違いを教えてください。
ぶっちゃけて言うと、当院でお話しするセルフケアとは動きのコツに注意しながらおこなう運動全てを指しています。
動きのコツに注意していればどんな運動でもいいということですか?
丁寧に自分の体の状態や動きのコツに注意を払えれば、当院でお話しする体操でなくても、筋トレでもジョギングでもサッカーでも楽器演奏でも食器洗いでも掃除でも何でもいいんですよ。
食器洗いや掃除って家事じゃないですか?
でも体は動かしているでしょ?(笑) 動きのコツに注意しながらやれるのであれば、それだって立派なセルフケアですよ!
そうか! 体を使うから家事だって運動なんですね!
問題なのは、家事をやるときはもちろん楽器の演奏やスポーツの専門家ですら、ほとんどの場合そのような動きのポイントを考えながら体を動かしていないという事実です。練習量に比して上達が追いついてこない方やケガが多い方は特にその傾向にあります。
一般の人にも専門家にも共通の問題点
さっき私は体の動かし方なんてほとんど考えたことがないと言いましたけど、専門家でもですか?
どうしても専門的なテクニックの方に意識が向いてしまいがちなので、体そのものに意識を向けられる方は多くはないんです。詳しいことは省きますが、基本的な体の使い方、動きのコツという視点に関する限り、我々と専門家はほとんど同じスタート地点にいると考えて差し支えありません。
え? ということは……?
専門的なテクニックの部分ではなく、体の使い方や動きの部分に関しては我々のような一般の人でも専門家でも同じカリキュラムで学んでいけるということです。
私たちとスポーツ選手が同じ内容を学ぶということですか?!
あくまでも体の使い方や動きのコツの部分は、ですよ(笑) 専門的なテクニックは明らかに専門家の方が優れていますし、日常的な運動量も目的意識も違いますから体の使い方や動きのコツも早く身につけられることが多いです。でも、同じカリキュラムで学んだ方が結果的に効率が良いことに変わりはありません。
なるほど〜!
一方、一般の方が体の使い方や動きのコツを意識しなければ、先程お話ししたように傷口に塩を塗り込むようになって体を痛めやすくなったり、油の切れた自転車に乗るように疲れやすくなったりします。このように体の使い方や動きのコツに目を向けないということは、どなたにとっても根深い問題だと言えるんです!
それで、先程、体の使い方を気にしないことは普通だけど問題だと仰ったんですね。
そういうことです。それでは、今回のお話をまとめてみましょう!
はり灸と動きのコツがポイントだと考えられる理由
この図を見ると今回のお話が分かりやすいですね!
あはは! ちょっとまとめてみました。これを踏まえて、もう少しポイントをまとめてみますね。
お願いします!
まずはセルフケアの始め方です。セルフケアのはじめの一歩は自分の体を感じることです。
体を感じることで体をコントロールすることに繋げるんですね!
そういうことですね! そしてセルフケアしても体調がおかしいときには早めに専門家に相談することも大切です。だからと言って、専門家に頼りすぎるのも考えものですが。
なるほど! 自分の体は自分で責任を持ちつつ、専門家に相談するということですね。
まさにその通りです! 仮に専門家の施術で10秒で体や姿勢が整ったとしても、短時間での変化は短時間で消えていきます。それよりはご自分でもセルフケアで体調管理しつつ、無駄なコリや緊張を一つ一つゆるめて、必要なタイミングで使うべき筋肉を使い、使うべきでない筋肉を使わないというような体のコントロールを少しずつ身につけていけば一生の宝になると思いますよ!
メリハリをつけて体を動かすことが大切なんですね!
はい! そうやって、無駄なコリや緊張が少なくなって、バランスの良い体の使い方ができるようになってくれば、疲れにくくなったり、動きやすくなったりしてくるんですよ!
やっぱり健康管理は人任せにするだけではなく、自分も積極的に関わっていく方がいいんですね。
その方が体が楽になっていきやすいと思います。当院では、未病プラスや痛みプラスなどのメニューではり灸の施術に加えてそのときの体調に合った動きのコツをお話ししていますし、全身の動きのコツをまとめたカリキュラム、ゆるふわ身体づくりもご用意しています。どうぞご利用ください!
ありがとうございます! これからは先生から教わるセルフケアをもっと真剣にやりますね!
これまで真面目にやっていなかったんですね(笑) こちらは本気でお伝えしていますから、できれば楽しみながらちゃんとやってみてください!