稽古前に腰を痛めた可哀そうな院長
私は、武術(合気柔術)の稽古を続けています。普段はもっぱら一人稽古なので対人稽古は私にとってはとても貴重な時間となるのです。
対人稽古の相手は峠を越えて来てくださるので、基本的に道が凍結しない夏期にだけいらしていただいています。先日、今年最後の対人稽古の日が確定しとても楽しみにしていたのですが、その直前(2日前)に無理な体勢をして腰を痛めてしまいました。
ゆるふわ身体づくりの操体法やゆる体操、シールタイプの鍼などのセルフケアである程度動けるようになったので、対人稽古に臨みました。セルフケアの方法を知っていて良かったなと思うのはこんな時ですが、それでもまだ痛みはそこそこ残っていました。
こんな状態で無茶かなと思ったのですが、稽古が終わってビックリ!
稽古を終えてみてビックリ!
何と腰の痛みが稽古前より楽になっていたのです。
実は本当の意味で質の良い、理に適った稽古ができると、疲労感や体の痛みが軽減して体も軽くなることがあるという話は知っていました。
でも、実際に自分で体験したのは初めてでしたのでとても新鮮でした!
勝ちを目指さない稽古の本質とは?
実は、武術の稽古というのは闇雲に動けばいいというものではありません。
どこまでも理に適った動きを追求することがとても大切で、勝ちにこだわる余り飛んだり跳ねたり、奇をてらったりというのは本質から外れているということになります。
まずは勝ち負けを忘れて、下手でもぎこちなくてもいいから理に適った動き、本質的な稽古ができるようになること。
私が20年も30年も稽古を通じて目指して来たのは、つまるところその一点のみでした。
今回「下手な稽古に入りつつあるかも!」と希望が持てたので、とても嬉しくなってしまいました! これも腰痛のおかげですね(笑)
経験だけは長くても下手の横好き、喧嘩はからきしですが、継続していればこそのご褒美というのはあるものです(笑)
引退時のイチロー選手のコメント
このような理に適った動きを追い求めていくのであれば、年齢に関係なく稽古を楽しんでいくことができます。どこまでも上達を楽しんでいけるのです。
これは本当に幸せなことです。
現役を引退した途端、競技やトレーニングから離れてしまうスポーツ選手・アスリートは多いのですが、そのような発想とは根本から違うことがお分かりいただけるでしょうか?
「身体運動の専門家なのに、なんでやめちゃうんだろう? 楽しくなかったのかな? 勝ち負けだけが目的だったのかな?」
そう寂しく感じていました。
しかしイチロー選手が引退するとき、こう語ってくれたのです。
「でも多分、明日もトレーニングはしてますよ。それは変わらないですよ。」
この言葉がイチロー選手の口から出た時には、涙が出るほど本当に嬉しくて「さすがだねえ、そういうことだよねえ」って一人で繰り返し頷いていました(笑)
動きの本質と老いと健康と
私自身が稽古を続けられるのは、残り30年ほどでしょう。
いつまでいけるのか、どこまでいけるのか、何が見えるのか、とても楽しみです!
繰り返しますが、このように理に適った動きを求める稽古というのは、年齢がいってもできるものです。言い方を変えれば、理に適った動きは健康にも良いし、いつまでも動ける身体づくりにも役に立つということです。
「でも私、武術なんてしたくない…」なんて声が聞こえて来そうですね(笑)
いつまでも動ける身体づくりに武術は不要!
確かに私自身の大きな目的の一つは武術の上達です。そのための理に適った動きの稽古です。しかし、その稽古の内容の大部分は、武術というより健康づくり、身体づくりなのです。
言い方を変えれば、私の武術の稽古のうち健康づくりや身体づくりに関係する部分を厳選し、どなたでもできるようにシステム化したのが当院のゆるふわ身体づくりというわけです。
多くの方にお話ししてきましたが、操体法やゆる体操を中心としたこのゆるふわ身体づくりを誰よりも熱心にやっているのは私自身だと思います。
そもそもが自分自身が上達し続けたくておこなっている稽古ですからね(笑)
だから健康づくりにも、いつまでも動ける身体づくりにも、直結しているというわけなんですね。
身体というのは本当に面白くて、奥が深いものです。
自分の内側を見つめることで、自分と外側との関わり方が変わります。
身体が変わるから、世界が変わるのです。
そんな話をいつか、みなさんと膝を交えてじっくりゆっくりできる日が来ることを心待ちにしています!