前回に引き続いて、ゆる体操から座り方を考えてみようと思います。前回は座骨を意識して座ることと、リラックスしながら骨盤を整えることの大切さをお話ししました。
今回も「決定版ゆる体操」から引用してみます。
(坐骨モゾモゾ座りで)仙骨が立ち、センターが通るようになる。また、背骨を積み上げる動作では、重みが自然にのってくる意識を持つことで、力まずに行うことができる。(61ページ)
これは前回お話ししたように坐骨で(立つように)座ることで、仙骨が前傾しすぎることも、後傾しすぎることもなくなることを意味します。実は、座っている時に猫背になる人というのは仙骨が後傾していることが多いものです。逆に仙骨が前傾する人は腰の前弯が強くなりやすい=反り腰になっている人が多いのです。
坐骨で座る習慣ができると仙骨が前後に傾きにくくなるので、猫背や反り腰にもなりづらくなります。つまりリラックスした良い座り方をするからこそ、外観上の姿勢も整ってくるということです。
その上、センターも通ってくると書かれています。重力がかかっている以上、体には重心があります。地球の中心から自分の重心が引っ張られているわけですが、地球の中心と自分の重心を結んだ線を重心落下線と言います。センターというのは、その重心落下線に沿ってできる身体意識です。なので、坐骨モゾモゾ座りという体操をすることで、体に一本センターという軸が通るということになります。
しかも、背骨を積み上げる動作が加わっています。つまり緊張しようがないため柔らかい軸が通ってくるということになります。やっぱりせっかく通すなら、緊張した硬い軸より柔らかくしなやかな軸が通って欲しいと思います。
(その3に続きます)
【参考文献】「脳と体の疲れを取って健康になる 決定版ゆる体操」高岡英夫著、PHP、2015
「センター・体軸・正中線」高岡英夫著、ベースボールマガジン社、2005