経絡治療の参考文献をご紹介します!

お灸画像 鍼灸師向け

当院では経絡治療と天地人治療を中心に施術システムが組み立てられています。様々ある参考文献のうち、鍼灸師の仲間同士で読書会をする際にも使用される経絡治療についての参考文献をご紹介していきます。

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経絡治療とは

経絡治療学会の教科書に相当する日本鍼灸医学基礎編の改訂版には次のような記載があります。

経絡治療とは、すべての疾病を経絡の虚実状態として把握し、それを主に鍼灸を用いて補瀉し、治療に導く伝統医術である。

相補改訂版 日本鍼灸医学(経絡治療・基礎編)、経絡治療学会編纂、P8

ぶっちゃけて言えば、心を除く五臓(肝脾肺腎)のいずれかのエネルギーの虚が大元にあって体調が悪化するという。これを基本四証という。目立った症状のない健康な方でも事情は同じで、体質のような形で基本四証がみられることも多いです。

実際の症状は基本四証のいずれかが存在することにより、経に寒熱の偏りが生じ、いずれかの経にその寒熱が波及することで現れることになります。つまり簡単に言えば、経絡治療とは疾病の根本の原因としての基本四証への施術(本治法)と、実際に症状が発する原因となっている寒熱が悪さをしている経絡への施術(標治法)との二本柱でおこなわれるのが経絡治療の基本です。

実際に本治法のみで患者さんの症状が(消失とはいかないまでも)軽減するところを目の当たりにすると「経絡というのはやっぱりあるのかな」という気にさせられます。

そんな経絡治療ですが、ここでは経絡治療学会の教科書に相当する日本鍼灸医学の基礎編と臨床編をご紹介します!

経絡治療学会の教科書

増補改訂版 日本鍼灸医学(経絡治療・基礎編)

増補改訂版日本鍼灸医学(経絡治療・基礎編)は経絡治療学会編纂の、文字どおり経絡治療の教科書1冊目に相当します。目次からいくつかの項目を抜粋してみると内容がイメージしていただきやすいと思います。

陰陽論、五行論、気・血・津液 虚実

経絡の流注 蔵象(肝・心・脾・肺・腎)

病因・病理病証

診察法(望・聞・問・切)

脈診

治療法

増補改訂版 日本鍼灸医学(経絡治療・基礎編)、経絡治療学会編纂、目次

こうしてみると東洋医学の基本から始まり、病理・病証や脈診など経絡治療らしい理論や技術について述べられており親切な作りになっていると思います。

難点を述べるとすれば「基礎編」というタイトルの通り、基本的事項がほとんどなのでこの1冊に目を通しただけで経絡治療の真似事ができるようになるかというと少々難しいとは思います。

はじめ院長
はじめ院長

技術の習得に際して教科書を読むだけでは技術の習得が難しいのは鍼灸だけではありませんよね。

日本鍼灸医学(経絡治療・臨床編)

基礎編に対する臨床編です。こちらは臨床編というだけあって自覚症状に対する経絡治療的な施術の方法が述べられています。

頭部からはじまり、頸・肩・上肢、腰部・下肢、胸部・腹部の疾患など各々の章が細分化され、合計50以上の項目で詳述されています。特に「原因・経過・既往症」や「悪化の原因」から推測される基本証や不適応症状についてもまとめられているのは非常に参考になります。

難点は詳述されているため、非常に書籍が分厚いこと。B5サイズで600ページ以上あります。そのため患者さんの症状に合わせた項目を読んでいくなんていう方法もオススメです。

私自身は数回通読しているのですが、その結果目次の順番通りに読まない方が理解しやすいのではないかと密かに考えております。第1章の「経絡治療の基礎」「第2章 健康保持の治療」を読んだ後、さらに全体を概観するなら「悪寒と発熱」を読むことをおすすめします。

その上で「傷寒論ハンドブック」などを読み進めると、基礎編や臨床編では理解しにくい病の伝わり方(伝経)などもおぼろげに見えてきやすいだろうと考えています。

はじめ院長
はじめ院長

なぜ漢方薬の歴史の中で傷寒論が基本とされたのか、経絡治療というフィルターを通して見ていくのもまた一興と思います!

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