動画で分かる!はり灸の流れ!
貫地谷さんが訊く! はり灸師が施術の際に考えてること!
貫地谷さんは上の動画をご覧になりましたか?
はい! 細かいところは患者さんにより違うんでしょうけど、流れとしてはこんな感じですよね。先生は施術中、どんなことを考えているんですか?
患者さんに楽になっていただくためにはどうしたらいいかなって(笑)
それはそうでしょうけど! どうやってツボを探してるかとかそういうのが不思議なんです!
そうでしたか(笑) そうしたら、今回は特別に実際にはり灸をしながら、はり灸師の視点から当院の施術の流れをお話ししてみましょうか。下のリンク「当院最高のおもてなしとは?」の記事で、ツボの数や体の流れがどのように影響しているのかにも触れていますので予め目を通しておくと少し理解しやすくなるかも知れません。ご参考までに。
ありがとうございます!
まずはお話を伺います!
それではお話を伺いましょう。先日は頭痛というか頭の重さで来院されましたが、その後の調子はいかがですか? 特に今日気になる部分はありますか?
おかげさまで先日の体調不良は改善したんですが、今日はなんか腰に軽い痛みを感じるんです。
なるほど。いつからですか? 何か思い当たる節はありますか?
2〜3日前くらいからですね。思い当たる節は特にないんですけど、階段の上り下りで違和感を強く感じる気がします。
それは大事なお話ですね。場所としてはちょうどお尻のど真ん中くらいですか? 右左に偏りはありますか?
はい、ちょうどその辺りです!
ちょっと右寄りが気になります。
念のためにお伺いしますが、夜にお布団に入るとき、この姿勢がつらいとかありますか?
そこまで痛みはひどくはないです。
ありがとうございます。それではベッドの上で仰向けになってくださいね。
全身の状態を確認します!
それではヒザを立てていただいて、両ヒザをいっぺんに右に倒したり左に倒したりしてください。まずは腰というか体幹を流れる体の流れ、経絡の状態を確認していきます。
左に倒したときに右側のお尻のあたりが少し痛みます。
次はお顔を右向けたり、左向けたりして首の状態を確認してみてください。
首は痛みとか違和感はないみたいです。
実際に首に触れて確認させてください。このツボを押すとどう感じますか?
ちょっと痛みを感じます。
このツボに手を触れておきますので、もう一度ヒザを左右に倒してみてください。
先程の右に倒したときのお尻の痛みがだいぶ軽くなりました!
よしよし…
「よしよし」じゃないですよ。ちゃんと説明してください! なんで首のツボを押すだけで腰が楽になるんですか? 首が悪いということですか?
あはは! 一生懸命になっちゃった。ごめんなさい。今、首と腰を確認しましたが、これは悪いところを探しているのとは少し違います。言うなれば、悪い流れを確認しているんです。
どういうことですか?
だいぶ専門的な話になるので、分かりにくいと思っていてくださいね。例えば足裏マッサージとかあるじゃないですか。
痛いところで悪い内臓が分かる、みたいな、ですか?
足裏マッサージは足裏で内臓を含めた全身を確認していますよね。足裏マッサージは東洋医学ではないので少し異なりますが、今の首と腰も似たようなところがあります。首と腰を通して全身の流れを確認しているんです。
なるほど… 流れというのは経絡とかですよね?
分かるような、分からないような…
今、首のツボを押さえて腰の動きが楽になったので、疑わしい流れがだいぶ絞られました。この後、脈診させていただいて、もう少し確認いたします。ちょっと左右の手首をお借りしますね。…… はい、いいですよ。
今は脈の何をみたんですか? 脈拍とかですか?。
もちろん脈拍も確認していますが、それだけではありません。五臓六腑って聞いたことがありますか?
それはあります!
東洋医学では六蔵六腑で考えます。今、貫地谷さんの左右の手首に、3本ずつ指を当てましたね。左右に6ヶ所、皮膚に近い部位と骨に近い部位で別のものを確認しますので12ヶ所。この脈診では六蔵六腑も確認しているんですよ。
そうなんですね! すっごい便利そう!
勘違いしないでくださいよ? 脈診はあくまでも東洋医学的な状態を確認する際の参考にするだけです。ある程度脈診ができるからって、病院での検査が要らないとかそんなことはないですからね(笑) それでは、状態が確認できましたので、実際にはり灸をしていきましょう。
たった1本のはりで劇的に体が変わるワケ
最初は、今確認できた悪い影響を与えている流れを整えるはりを打っていきます。このときは1本ないしは2本打つことが多いですね。…… 今、手と足に打ったはりをテープで止めましたので、手を離します。もう一度、首を確認させてくださいね。…… 先程と同じツボですが、いかがですか?
さっきと違って痛みがだいぶ軽くなりました!
選んだツボで大丈夫そうですね。はりはテープで留まっていますので、気をつけながらもう一度膝を倒していただきますね。もしはりが痛むようでしたら、すぐに教えてください。
ヒザを倒したときの腰の痛みもずいぶん小さくなりました! 痛みがある腰とは全く違う場所にはりを1〜2本打っただけでなんでこんなに体が変わるんですか?
体の状態にもよりますが、上手く判断できたときは、痛みがゼロにはならないまでも動きが軽くなることは少なくありません。先程、体を動かしていただいたり脈を拝見して体に悪い影響を与えている流れを東洋医学的に確認しました。今はりを打ったツボは、その悪い影響を与えている流れを整えるツボなんですよ。
全身に悪い影響を与えている流れを見つけることが大切なんですね!
そうなんです! 時間をかけてカウンセリングでお話を伺ったり、体を動かして痛みや違和感を確認したり、脈診をさせていただくのは、そのためということですね。
同じような質問になりますが、痛いところとは全く違うツボにはりをしてるのに、なぜ体が楽になるんですか?
私は、体の流れを整えることで、全身がリラックスするからと考えています。
別の場所に打ったはりが腰に効いてると考えるのではなくて、全身がリラックスするから腰も楽になると考えるのですね!その方が理解しやすいです!
体を悪くするツボってなに?
今のように、悪い影響を与えているツボを刺激して全身のバランスを整える調整法を本治法というのですが少しの刺激で体がリラックスするのはとても不思議ですよね。
はい! とても不思議です!
ここで一つ押さえておいていただきたいのは、一本のはりで体がリラックスするとういことは、逆に体を緊張させるツボやはりもあるということです。
え?! はりを打てば打つほど楽になるものと考えていましたけど、そうではないんですか?
残念ながら、そうではありません。言い方を変えれば、そのときの体の状態次第で選ばなくてはいけないツボが変わるんです。体をリラックスさせるツボも、体を緊張させるツボも日によって変わったり、体調で変わったりするんです。
だから毎回、体の状態を確認するんですね!
前回と同じツボが良いとは限らないですし、間違って体を悪くするツボを刺激したくないので確認するんです。さっき「よしよし」と独り言を言ってしまったのは、この辺りの判断が固まってきたからなんですね。
体を悪くするツボの怖さを知ってる方に施術してもらえる方が、私は安心できます!
残念ながらはり灸師でもご存知ない方がいらっしゃいますので、そう仰っていただけるととても嬉しいです! それでは、腰のあたりに施術をおこなっていきましょう。ゆっくりとうつ伏せになってください。
全身のバランス調整以外のもう一つのはり灸
先程、全身のバランスを整える本治法をおこないましたが、はり灸にはもう一つ大切な施術の方法があります。それが症状がある部位に直接関係する部位への施術で、標治法と言います。
確かに全身のバランス調整をやっても、まだ腰の痛みは残ってます。
今からおこなうのはそのような施術になります。ちょっと腰まわりを指で押して確認しますので、どのように感じるか教えてください。
あ! その辺りは押すと痛みがあります!
分かりました。それではこの辺りにお灸をしていきますね。熱くないですか?
はい! 気持ちいい感じです!
いいですね。火を使ってますので、全く熱くないとは言いませんが、気持ちいいお灸ができるよう努力しています。それでは、施術を進めますね。……それでは背部の施術が終わりましたので、もう一度仰向けに戻っていただいていいですか?
体や動きの変化を確認します!
それではもう一度膝を左右に倒していただいてもいいですか?
もうほとんど痛みはありません!
上手くいって良かったです(笑) もう一度、首の先程と同じツボを押してみますね。いかがですか?
さっきと同じツボですよね? 触れられた感じが全然違います!
このような変化を一人でも多くの方に感じていただきたいので、日々精進しているという訳です。
なるほど、はり灸で体が変化する理由が垣間見えた気がします!
はり灸を受ける回数を減らすためにできること!
そしてもう一つ、このように体の変化を感じることに患者さんに慣れていただければ、コリや緊張が起こりにくい体づくりにも繋げていけるんです。
え?! はり灸がゆるふわ身体づくりにも繋がっていくんですか?
はり灸師がこんなことを言うのはどうかと思いますけど、やはりはり灸を受ける回数を減らしていけるというのが、健康づくりや身体づくりの本質だと考えています。ですので、はり灸の施術後のことも常に意識しています。全ての患者さんが関心をお持ちいただけるとは限りませんけどね(笑)
そうやってトータルで健康や身体のサポートを考えているんですね!
あともう一つ、先程全身のバランスを整える本治法、症状がある部位を調整する標治法のお話をしました。当院のメニューの「未病のはり灸」は本治法がメイン、「痛みのはり」「病のはり」は本治法と標治法をバランス良くおこなう施術とお考えいただけるとイメージしやすいかも知れません。
なるほど! まさかはり灸の流れのお話から、はじめ鍼灸整骨院の全体像が見えてくるとは思いませんでした! 今日はありがとうございました!