「肩の力を抜く」ことで試合や本番で実力を発揮できたり、カゼを引いて具合が悪いときは気持ちまで弱くなってしまったりするように、身体と精神は強く関係します。
しかし身体と精神の関係をスポーツやビジネスで活用できるスキルにまで高められるようになるためには、より細かいメカニズムまで理解していく必要があります。
そこで今回は「怒り」という感情を手がかりにもっと細かく身体と精神スキルの関係について深めていきたいと思います。
感情の本質を掴むヒント!「怒る」を別の言葉で表現してみましょう!
まずは特定の対象に対して「怒る」という状態を思い浮かべてみてください。それではこの「怒る」という言葉を、体の部位を使った別の言葉で言い換えることを考えてみましょう。
いかがでしょうか?
「腸(はらわた)が煮えくり返る」、「怒り心頭に発する」なども含めいくつか思い浮かびかも知れませんが、今回はその中でも体の部位についてイメージしやすい「頭に来る」と「腹が立つ」の二つを考えていきたいと思います。
確かに「頭に来る」も「腹が立つ」も「怒る」を意味する言葉ですね。でも使われている体の部位の名称は異なります。
これはなぜでしょうか?
感情と身体の接点は?身体部位と感情の不思議な関係
少し「頭に来て怒っている人」「腹が立って怒っている人」を想像してみてください。感情としては同じ「怒っている人」ですが、少しイメージが異なりませんか?
いらすとやさんのサイトでイラストを探してみました。私にとっての「頭に来る怒り方」「腹が立つの怒り方」はここで挙げたイラストのイメージに近いです。恐らく大同小異で、同じようにイメージされる方が多いのではないかと思います。
このように見てくると、確かに「頭に来る」と「腹が立つ」では怒り方のイメージが違います。このイメージの違いは「頭に来る」と「腹が立つ」では同じ「怒る」を表現していても、厳密に考えれば言葉の意味が異なっていることを表しています。
あなたはどちらのタイプ?「頭に来る」と「腹が立つ」の違いとは?
私は鍼灸マッサージ師であり、柔道整復師でもあります。来院される多くの患者さんを見ていると、ストレスのせいなのか、元々そのようなスキルをお持ちでないのかはともかく最近は腹式呼吸ができない方が多くなっている印象が強いです。
つまり「腹がない」方が多いのです。最初から「腹がない」方は「腹を立てて」怒ることはできません。
「腹を立てる」怒り方は理性が残っている印象があります。怒りたくないけど、腹に据えかねて、堪忍袋の尾が切れて、怒りとして表現するイメージです。
「腹がない」方はこのような怒り方ができないとしたら、どのように怒りがちになるのでしょうか。
そうですね。そのような方が怒るときには「頭に来る」怒り方になってしまいがちです。感情的に怒ってしまいがちです。
アンガーマネジメントの講習会などもありますが、大事なことは怒ったり、叱ったりしないことではありません。理性を失って、感情的になってしまうことが問題なのです。
改めて考えてみてください。あなた一番最近怒ったときは、どちらの怒り方に近かったですか?
理性的に怒るのは難しい!腹を立てるスキルを手に入れる方法
「感情的に『頭に来る』怒り方をしているな。」
そう振り返ることができたとしたら、もしかしたら「どうしたら頭に来ることなく腹を立てることができるようになるだろう?」なんて思われたかも知れませんね。
腹の意識が弱く頭や首肩まわりの緊張が強くなると「頭に来る」傾向も強くなります。首肩まわりの緊張をゆるめほぐし気持ち良い腹式呼吸ができるようになると怒り方も変化してきます。
「怒り」の感情だけではありません。様々なマインドスキルと身体が関わってきます。
身体を整えるとメンタルも整う!精神力を磨く身体コントロールの実践法
つまり怒りを含めた感情のコントロールだけでなく、バランス思考や「今ここ」のマインド、集中力、ハートや感謝、コミュニケーション能力も含めたビジネススキルに必須の能力、これら全てが身体コントロールに関係しているのです。それが身体と精神の関係であり、身体意識の考え方です。
マインドフルネスやメンタル強化、集中力向上、アンガーマネジメント等の講習会やセミナーを受講された経験のある方は少なくないと思いますが、あまり変化が見られなかったという方も少なくありません。
もし本気でビジネスやスポーツ等の場面でパフォーマンス向上やリーダーシップ強化を希望されるなら、脳で刺激や情報が処理される前の一次情報は体が担っていることを思い出してください。筋肉の緊張をリラックスさせ、重心バランスを取り戻し、呼吸法も含めた身体コントロールを学ぶことでマインドやメンタル、感情などの精神スキルの可能性は劇的に高まるものです。