何年かに一度、私はぎっくり腰を起こすことがあります。
最初は大学生時代、次にネパール滞在時代。ネパール時代の腰痛が落ち着いた後、私は医療調整員さんに「今後10年ほどはひどい腰痛は起こさないと思う」と、そう話した記憶があります。
案の定、次にぎっくり腰、つまりひどい腰痛を起こしたのはその11〜12年後。旭川に移住してしばらくしてからだったので、ほぼ予定通りですね。
なぜそんな予想ができたのでしょうか?
奥深くの緊張やクセが未来で顕在化する
そのような予測を立てることができた根拠。それは、全身の緊張状態を変化させ、リラックスさせるトレーニングを開始して、徐々に上手になってきていた自覚があったからです。
でも、自分の腰痛の原因は、身体もしくは心身のかなり根深い部分にあることも自覚していたので、身体コントロールが上達した未来で顕在化してまた再発する。
それが予想できたので10年という表現をしたのです。
初めてぎっくり腰をやった大学生時代、当時の私は小中高とスポーツの経験もあり、大学の受験勉強中も欠かさずに筋力や関節の柔軟性を維持するために筋肉トレーニングやストレッチを続けていました。
筋力や柔軟性に頼れない身体コントロール
しかし良かれと思って行っていたトレーニングが、自身の緊張を強化し、筋肉を硬めてしまうことで自分の上達を妨害するだけでなく、腰痛に影響を及ぼす一面も持っていたのです。
パフォーマンス向上のためには筋力が必要だと無批判に受け入れていた私にとって、筋肉の緊張が身体コントロールの邪魔をしていることに気づいたことは本当に衝撃でした。
ご存知の通り通常筋肉は脳の命令で収縮します。そのため筋肉の緊張を上手にリラックスできるようになるためには相応の時間がかかることは最初から分かっていました。
それでも私は、武術の上達を目的に、筋肉の緊張をゆるめほぐすためのトレーニングを開始したのです。
当時、かれこれ30年ほど前になりますが、私が気づいていたのは、何気なく意識せずに立つと左足と比べて右足が三分の一くらい前に出てしまうこと。
左右のバランスの微妙なズレにどう対応するか?
どこかに緊張やクセが隠れている立ち方なのですが、それが当時の私にとっての「自然」な立ち方だったのです。
つまり左右のバランスが微妙にずれている違和感があり、体のどこかに緊張や歪みがあることは分かっていました。しかし、それがどこかは認識できていませんでした。
そんな中で気づいていたこと。
10年間の予想の意味|見えていた上達の道しるべ
それは、簡単に分からないくらいのズレなので、浅い部分のバランスの崩れではないということでした。
その問題を顕在化させられるのに要すると考えた時間が、ネパール滞在中に発言した「10年間」の意味だったのです。
そして顕在化した課題を修正するのに、さらに数年〜10年ほどかかるだろうこともこの時点で既に織り込み済みでした。
「課題の顕在化」とは新しいパズルを提示されるようなものなので、そのときが来るのを楽しみに、ワクワクしながら待っていたものです。
そして、最近は、左側の骨盤や股関節まわりの違和感として朝の起床時にしばらく感じられるという形で残っていました。
何かがズレている…その原因はどこに?
全身の筋肉の緊張や、立ち方の左右のバランスが微妙にズレている感覚ーーその原因を探るトレーニングを長いこと続けていましたが、ようやくここ数週間に気づいたことがあります。
それは「股関節と骨盤の関係」でした。この二つがどれほど深く結びつき、私たちの身体全体に影響を与えているのかを改めて実感しました。
この記事では、股関節と骨盤の意外な関係について解説し、日常生活や健康にどう影響を及ぼすのか、そしてどのように改善できるのか、そのヒントをご紹介します。
股関節の骨盤の関係とは?|股関節が歪むと骨盤が悲鳴を上げる?!
股関節は骨盤と太ももの骨を結ぶ関節で、上半身と下半身をつなぐ重要な役割を果たしています。一方、骨盤はその重要な股関節を支える土台のような役割も果たしています。
このように股関節と骨盤は密接に結びついており、一方が不調だともう一方に影響を与えます。
例えば、股関節が不調だと、骨盤まわりの筋肉や靭帯などの動きが制限され、歩行時に無理な力が加わりやすくなります。その結果、腰や膝にも負担がかかり、姿勢がさらに崩れる原因ともなるのです。
しかし、鏡を見て姿勢を整えるだけでは、股関節と骨盤の問題は解決しません。
体の感覚と実際のズレを知る|見た目だけでは分からない真実
と言うのも、体の感覚と実際の骨や関節の位置は一致していないことが多いからです。
例えば座っているときに自分では「まっすぐ座っている」感じていても、骨盤が傾いている場合があります。
このような感覚のズレは、日常生活のクセや、何気ない姿勢や重心バランスの崩れによって蓄積されます。
今回の私の気づきは、30年にわたる稽古の積み重ねの上に見えてきた発見です。改めて言語化するのも面白いと思い、今回はそれをあえて言葉にしてみました。
30年かかった股関節と骨盤の関係への気づき
- 特に左側の股関節の感覚的な位置(クセとして、ズレて意識化されていた股関節の位置)が実際の股関節の位置とずれていた。
- 左股関節の意識化されている感覚の位置が、右側と比較すると実際の股関節の位置よりも浅かった。そのため左右の股関節の位置を感覚に従って前後に揃えると、左が後方にずれてしまい、右足が前に出ることになってしまっていた。
- さらに左足の股関節の感覚の位置は浅いだけでなく、やや上外方(大転子寄り)にずれていた。そのため骨盤へのストレスが左右で異なり、その分だけ左側の骨盤周辺の緊張が強くなっていた。そのような左右差が、起床時の骨盤の違和感と関係していた。
一日でも早く正しい感覚を取り戻す方法
分かりにくいかも知れませんが、細かく正確に書くとこのような気づきがあったんです。
ここに辿り着くまでの私は30年も費やしてしまいましたが、まずはこれらが自覚できただけで私にとっては大きな成果であり、上達そのものです。今後はまた時間をかけてこの緊張やクセを軽減し、解消していくのが次の目標となります。
「それだけの時間をかけてもまだ完全じゃないとすると、股関節や骨盤の不調をケアするのって実は難しいんじゃない?」と気づかれた方もいらっしゃるかも知れません。
私も、それくらいで考えておく方が良いと考えています。
そうすれば、できなくても当たり前なので、無駄に落ち込まなくて済みますし、できたときにはパズルや脳トレが解けたような爽快感やスッキリ感を味わうことができるはずです。
それでも中には一日も早く正しい感覚を取り戻したい方もいるでしょう。
そのために必要なことは、自分の体の状態を「丁寧に感じ取る」ことであり、それに加えて専門的なサポートがあるとさらにスムーズに効果を実感しやすくなります。
その最初の一歩として大切なのは、股関節と骨盤の感覚を磨き、実際の位置とのズレに気づくこと。
自分でできる簡単セルフケア|スタートラインに立つために
そのためには、まず自分の身体の状態を知ることが重要です。
いきなり「身体の感覚と実際の位置を一致させる」ことを目指すのではなく、まずは普段の体の状態や動きの癖を認識するところから始めましょう。
以下のセルフケアは、それを可能にする「準備段階」として取り組む価値があります。
1)骨盤を揺らすエクササイズ
座った状態で骨盤を前後や左右にゆっくり動かしてみてください。呼吸を深くしながら、骨盤まわりの筋肉がどのように動いているかを意識します。この動作は硬くなりがちな骨盤周辺をほぐすだけでなく、自分の骨盤の動きの幅や左右のクセに気づくきっかけにもなります。
2)股関節の可動域を広げるストレッチ
床に座り、脚を前に投げ出したり、膝を曲げて左右の足裏をつけながら股関節を無理のない範囲で動かしてみましょう。「どちらの脚が開きにくいのか」や「左右差があるのか」を観察してみてください。毎日の変化にも注目することで、自分の身体の柔軟性や硬さを知ることができます。
3)正しい姿勢を意識する習慣
立っているときや座っているときに、自分の骨盤が前後に傾いていないか、または股関節に無理な力がかかっていないかを意識してみましょう。この「意識する」という行為そのものが、自分の体を知る第一歩です。
シンプルな動作の習慣化が未来を創る
これらのセルフケアは、身体の感覚と実際の位置を一致させることを目指す「本格的なトレーニング」を始める準備として、非常に重要です。
続けることで、日々の体の状態や変化を捉えられるようになり、自分の体を感じる力が少しずつ育まれます。
一見シンプルに思えるこれらの動作も、継続することで新しい発見に気づき、自分の身体と向き合う習慣につながるのです。
専門家のサポートが必要な理由|丁寧に身体と向き合うために
セルフケアは効果的ですが、体の状態を正確に理解し、適切なアプローチを取るためには専門家のサポートが欠かせません。
はじめ鍼灸整骨院では、骨盤や股関節の状態を丁寧に評価し、一人ひとりに合った施術やプログラムを提供しています。
骨盤バランスのセルフ調整や股関節の動きを改善するプログラムは、姿勢の崩れや慢性的な疲労を軽減し、心身のパフォーマンス向上にもつながります。
具体的には、姿勢や重心バランスを改善し、パフォーマンス向上を図るための心身にわたる徹底的な基盤づくりに必要なカリキュラムを、学習や習得しやすく80段階以上の細かいステップに細分化した独自のカリキュラムをご用意しています。
そのカリキュラムから、あなたのお悩みや課題に適した内容を厳選して抽出してレッスンを作成いたします。だからこそ、数回から十数回受講するだけで、私自身の初期のトレーニングの数年から十数年分の成果を一気に超えていけるようなセッションをご提供できるのです。
受講生の方々が「こんなに違うの?!」「こんなに自分のバランスがズレてたなんて!」と驚くような身体や動きの変化を実感できる理由はこんなところにあるのです。
身体の変化を楽しむ|未来の健康は今日の一歩から
股関節と骨盤の関係に目を向けることで、姿勢や動作、そして健康全体が大きく変わる可能性があります。
身体の感覚を丁寧に感じ取り、必要に応じて専門的なケアやサポートを受けることであなたの生活の質は間違いなく向上するでしょう。
はじめ鍼灸整骨院は、あなたの身体とココロが未来に向けて変化していく第一歩をサポートします。
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