共通言語としての脈診

東洋医学

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今回は先日のはり灸の研修のご報告です。

当院のはり灸(特に東洋式バランス鍼灸)は体質や体調を考慮した全身のバランスを整える治療と
痛い部位や症状のある部位を考慮した局所の治療を組み合わせておこないます。

今回の研修は 、特に全身のバランスを考えながら局所の症状を緩和するためのはり灸治療(経絡治療と言います)を学習するためのものでした。経絡治療をおこなうためには患者さんの話を聞いたり、状態を見たり、脈を診たりしながら患者さんの体のバランスを判断する必要があります。

今回の研修で改めて感じたのは「体の感覚を人に伝えるのって難しい!」ということでした。例えば、脈診で判断したものを研修で人に伝えるためにはその感じたものを言語化・数値化、図示などをする必要があります。 脈診を言語・数値化したり図示したりする方法はこれまでも開発されてきましたが、そのほとんど全てが「自分たちの脈診のやり方」を表現する方法でした。つまりAという脈診法の説明とBという脈診法の説明を比較することが難しかったのです。辞書も通訳もなしで日本語と英語で会話するようなものと言えば分かりやすいでしょうか。

その意味でAとBという脈診法の橋渡しができるような辞書や通訳、共通言語しての意味を持つ脈診法の必要性を改めて感じました。「そのようなことを企図して作成されている(と思われる)脈診習得法(MAM)が共通言語として利用されるくらい認知度が高まれば、今回の研修のような研究発表の場でももう少し共通認識が持ちやすい発表になるだろうになあ」と思った次第です。

今回もちょっとマニアック(専門家向けで申し訳ありません)。

参考文献
日本鍼灸医学(経絡治療・基礎編)、経絡治療学会、1997.6
脈診習得法(MAM)、木戸正雄・武藤厚子・光澤弘共著、医歯薬出版、2013


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